こんにちは!読書と実践が大好きなSE「つた」です。
私はSEをやってますが、最近は開発・保守をしているシステムにAI(人工知能)を活用できないか検討しています。去年からAIの検討を開始し、本場のアメリカやカナダに情報収集に行ったりもしました。そこで感じたのはこれから10年ぐらいの間にAIは急速に発展し、私たちの生活が大きく変わっていくだろうということです。
AIの活用が進むと私たちの生活が便利になる反面、AIに仕事を奪われるということも実際に起きてくると思います。企業ではAIを導入する際、職を奪われることを不安視する社員らに対して、「機械にできる仕事はAIにまかせて人間はクリエイティブな仕事に集中できる」と言いますが、これは方便でAIで削減できる人員を全て別の部署に回すことができるわけもなく、結局トータルでみると仕事を奪われる人は沢山出てくると思います。
また、日本ではAIの波に加えて少子高齢化が急速に進んでおり、自分としては日本の将来には悲観的で、子供には将来日本に拘らず生活できるように、まずは英語を学んでほしいと思っています。
今日ご紹介するのは中原圭介さんの「AI×人口減少 これから日本で何が起こるのか」という本です。中原さんはサブプライムローンによるリーマンショックを事前に予測したすごい人で、従来の経済学者とは違って歴史や社会学の観点から経済予測を行っており、私は新刊が出るたびに必ず読んでいます。
(ちなみにアベノミクスが失敗することも当初からずっとおっしゃってました)
以下は本の中で私が特に気になって線(Kindleハイライト)を引いた内容です。
人口がこんなに減少するの!?
1年間に 40 万人もの人口が減少するという現状は、たった1年間で東京都の品川区や町田市、神奈川県の藤沢市や横須賀市、千葉県の柏市、大阪府の枚方市や豊中市、愛知県の豊田市や岡崎市、富山県の富山市、岐阜県の岐阜市、香川県の高松市、宮崎県の宮崎市、長崎県の長崎市などの人口が、ほぼ丸ごと消えていく計算になります。富山県、岐阜県、香川県、宮崎県、長崎県では、県庁所在地の人口が残らず消滅するほどのショッキングな数字であるというわけです。
国立社会保障・人口問題研究所による人口推計によれば、1年間の人口減少数は早くも東京オリンピックから2年後の2022年には 50 万人台に達するとされています。その後も人口減少のペースは加速していき、2023年に 60 万人台、2026年に 70 万人台、2031年に 80 万人台、2037年には 90 万人台、そして2065年になってとうとう100万人の大台に突入するというのです。
死亡者数が天井に達する2040年から2060年までの 20 年間で、日本の総人口は1808万人減ると推計されていますが、単純平均すると年間の減少数は 90 万人超となります。2017年時点で和歌山県の人口が 94 万4000人、香川県の人口が 96 万7000人ですから、これらの県が毎年一つずつ消滅するほどのインパクトがあるわけです。 おそらくは日本の歴史はおろか、世界の歴史において、これほどまでに人口が減り続ける事態ははじめてのことです。
いずれにしても、日本は2042年に高齢者数がピークに達し、2065年に高齢化率がピークを迎える見通しにあります。人口減少や高齢化の悪影響が深刻化するとみられるのが、2030年代後半からの 30 年~ 40 年の期間です。
私の感想
これを読むとびっくりしませんか?毎年県が1つ減っていくって想像つきませんよね。特に地方はすごいスピードで人がいなくなると思います。
実際に私の実家は高知県高知市ですが、帰るたびに人が減っていくのがわかります。高校の時は賑やかだった繁華街が今は空き店舗ばかりで、夜も閑散としてます。なんだか暗い気持になりますね。。。
年金や社会保障はどうなる?
現実をしっかりと直視した推計をすれば、現役世代一人あたりの社会保障に関する年間負担額は、2040年度には今より少なくとも3割増、通常は4割増を覚悟しなければならないということです。
この結果、現在の所得税は、夫婦のうち一人が働いて子どもが二人いる4人世帯においては、年収が900万円から1000万円に増える時の負担が特に重いといわれています。社会保険料を含めた試算に基づけば、年収が100万円増えたとしても可処分所得は半分の 50 万円も残らないという状況なのです。
2017年 12 月には、年収850万円超の会社員までもが所得増税の対象になることが決定しました。2020年分以降の給与所得控除の上限額が、現在の年収1000万円超の220万円から、年収850万円超の195万円に引き下げられるというのです。家族に 22 歳以下の子どもや介護が必要な親がいる人は増税の対象から外すそうですが、増税の対象者は年収900万円で1万5000円、1000万円で4万5000円、1500万円で6万4500円といった具合に、税額がアップするということです。
日本の出生率が今の水準と変わらず、平均寿命があと5~6歳延びると仮定すると、私たちにとってこれから選べる選択肢は主に次の3つになると思います。これらは楽観的にも悲観的にもならずに現実的な数字を基に試算しているので、一つの指針として考えてもらえればありがたいです。
① 社会保障を現状維持のままで、消費税を 40% に引き上げる
② 社会保障サービスを3割削減して、消費税を 30% に引き上げる
③ 定年を 75 歳に引き上げて、消費税を 20% に引き上げる
※本の中では現実的な選択肢として③になるだろうとのこと
これからの働き方は?
大学を卒業して 75 歳まで働くとすれば、会社員生活は 50 年あまりになります。会社の平均寿命がその半分以下に落ち込んでいることから、 50 年あまりの会社員生活は1種類の仕事をするには長すぎるという状況になっているのです。人間の寿命がわずかながらでも延び続けているのに対して、会社の寿命は着実に縮み続けてきています。双方のあいだに広がるギャップが大きくなればなるほど、特定の会社や仕事に頼り過ぎるリスクが高まっていくというわけです。
それでは、定年が消滅していく時代に、必要な働き方とは何でしょうか。会社員のなかには老後のための資産運用に励む人々が多いですが、それ以上に重要となるのが人生の後半に向けて自らの技術や能力の向上に努めることです。技術革新の伝播のスピードが速く、ビジネスの多様化が進行しているなかで、人生の前半と後半でまったく違う道を歩むこともありえます。いかに自己研鑽を積み人生後半も仕事を維持できるかという視点が、会社員の人生設計には重要となってくるのです。
AIが関わるのは頭脳の領域であるので、たとえ高度な知識を持つ専門職であっても、この先将来がずっと盤石であるという保証はありません。その専門職の代表格であるのが、弁護士、公認会計士、税理士、弁理士などの、いわゆる「士業(サムライ業)」と呼ばれる職種の人々です。
将来的には高度な知識を要する業務の大半をAIが代替できるため、専門職の人々の経営環境は激変していくことになるでしょう。通常では5年後には、少なくとも 10 年後には、今の仕事の大半はなくなっているといえるのです。
AIやロボットが医師の仕事の8割程度を代替できることが、アメリカでの実証実験などからすでに明らかになってきています。
AIが広く浸透していく時代の到来に向けて、人はどのようなスキルを磨いていったらいいのでしょうか。総務省がAIの時代に重要となる能力を有識者に聞き取りしたところ、主体性、行動力などの「人間的資質」や「企画発想力や創造力」がもっとも多く、コミュニケーション能力などの「対人関係能力」が続いたということです。語学力などの「基礎的素養」は少なく、人ならではの強みを身につける必要性が求められるというのです。さらに有識者のなかには、AIに負けない人間力を鍛えていくには、他の人に共感する力を高めていかねばならないと指摘する人もいます。
さらには「AIとの共生に必要なスキルとは何なのか」という質問に対しては、「人間が複雑であり続けるよう努力をすること」だと思っています。たとえば、AIが成功した500人のビジネスマンの著書を学習してその共通項を教えてくれたとしても、それだけで成功するほどビジネスの世界は甘くはありません。ビジネスで成功する要因は、個々の考え方や感情、経験、テクニック、運などの総合であり、とても一般化することはできないからです。私たちは自己研鑽や試行錯誤を繰り返し、様々な経験を積み重ねることで、人間の複雑さを身につけていくことが重要であるのではないでしょうか。
私の感想
AI化の中でも人間に必要とされる能力が何かというのは興味深いテーマですよね。ただこの本では上に記載した以外に必要な能力に対する言及がなかったのが残念でした。本の中では主に少子高齢化に対する提案として大企業の本社を地方に移転させる提案がされてましたが、(企業のトップでもないので)個人的にあまり関係なさそうでしたのでここでは割愛しています。興味ある人は是非本を読んでみてください!
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