新しい経済のルールとは?

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こんにちは!読書と実践が大好きなSE「つた」です。

前の記事と同じ「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」の第3弾です。やっとこの本の主題に入ることができました。

 

以下は本の中で私が特にいいなと思って線(Kindleハイライト)を引いた内容です。

 

お金や経済の世界において最もインパクトのある現象、大きな変化の流れとは何でしょうか?もちろん100年という単位で考えると難しいですが、これから 10 年という単位で考えれば、それは「分散化」です。 「分散化」とは一部の業界を除いて会話で使われることは滅多にありませんが、これは既存の経済や社会のシステムを根本から覆す概念です。なぜなら、 既存の経済や社会は、「分散化」の真逆の「中央集権化」によって秩序を保ってきたからです。組織には必ず中心に管理者が存在し、そこに情報と権力を集中させることで、何か問題が起きた時にもすぐに対応できる体制を作ってきました。そしてこれが近代社会では最も効率的な仕組みでした。

それは、 近代社会が「情報の非対称」を前提に作られているためです。 情報が偏って存在し、それぞれがリアルタイムで完全に情報共有できないことを前提に、代理人や仲介者を「ハブ」として全体を機能させてきました。必然的に〝力〟は中央のハブに集まるようになります。現代で大きな影響力を持つ組織を眺めても、このハブが重要な役割を担ってきたことがわかります。国家においては政府に、議会政治であれば代議士に、企業であれば経営者に、物流であれば商社に。近代社会では情報の非対称性が存在する領域に仲介者や代理人として介在することで、情報の流通を握り権力も集中させることができました。そして、この情報の非対称を埋めるために代理人として介在すること自体が重要な「価値」でした。

ただ、現在は全員がスマートフォンを持ち、リアルタイムで常時繫がっている状態が当たり前になりました。これからは人間だけでなく、ものとものも常時接続されるのが当たり前の状態になります。 私はこれを「ハイパーコネクティビティ」と呼んでいます。この状況がさらに進むと、オンライン上で人と情報とものが「直接」かつ「常に」繫がっている状態が実現します。そうすると中央に代理人がハブとして介在する必然性はなくなり、全体がバラバラに分散したネットワーク型の社会に変わっていきます。

 

そうなってくると、これまで力を持っていた代理人や仲介者はどんどん価値を提供できなくなっていき、力を失っていきます。分散化が進んでいくと情報やものの仲介だけでは価値を発揮できず、独自に価値を発揮する経済システムそのものを作ることができる存在が大きな力を持つようになっていきます。  つまり、この「分散化」という現象は近代までの社会システムの前提を全否定する大きなパラダイムシフトなのです。

インターネットは「距離」と「時間」の制約をふっ飛ばして、情報を瞬時に伝達するテクノロジーなので、むしろネット本来の力がここに来てようやく発揮されてきたと言えます。次項からは、この分散化の流れの一部として現れた新しい経済システムを具体例を交えて紹介していきます。UBERやAirbnbに代表される「共有経済(シェアリングエコノミー)」、仮想通貨やブロックチェーンなどを活用した「トークンエコノミー」、YouTuberやインフルエンサーとファンなどが作る「評価経済」などです。 この3つは全く別のもののように見えますが、度合いは違えどそれぞれ分散化が引き起こした大きな流れの一部です。

独自のトークンを発行しても、そこに参加する明確なメリットがなければ誰も来ませんし、一度来ても信用を失えばトークンを売却して経済圏からすぐに出ていってしまいます。トークンエコノミーはバーチャル上にだけ存在する経済圏で、国家と違って領土のようなものがあるわけでもありません。ちょっとの問題があるだけでも蜘蛛の子を散らすように参加者は逃げていき消滅してしまう不安定さがあります。 トークンの発行者は通貨発行益を得る代わりに優れた経済圏を作りそれを維持し続けなければいけません。

トークンエコノミーでは、経済圏への参加者が増えれば増えるほど経済圏としての価値が上昇する「ネットワーク効果」が働きます。 トークンもそれを信頼して受け取ってくれる人がいなければ何の意味もありません。その経済圏に魅力を感じて参加してくる人が増えると、トークンを欲しい人が増えて好きなタイミングで手放せるので、それを持ち続けるリスクも減ります。さらに参加者が増えることでそのトークンでの支払いを許可してくれる店やサービスも増えて、利便性が高まることでさらに参加者が増えるというように、自己増殖的に経済圏を拡大することができます。

資本主義で一番大事なことは資本を最大化すること、簡単に言えば「お金を増やすこと」を追求することです。どれだけ人々が熱中して膨大なユーザーがサービスを利用してくれていても、それらが「お金」という形に換えられなければ資本主義経済では存在しないものとして扱われてしまいます。逆に、実際は価値がないものであっても、それをうまくお金・資本に転換できさえすればそれは評価の対象になってしまいます。

価値主義ではその名の通り価値を最大化しておくことが最も重要です。価値とは非常に曖昧な言葉ですが、 経済的には人間の欲望を満たす実世界での実用性(使用価値・利用価値)を指す場合や、倫理的・精神的な観点から真・善・美・愛など人間社会の存続にプラスになるような概念を指す場合もあります。

またその希少性や独自性を価値と考える場合もあります。欲望を満たすための消費としての価値は既存の資本主義経済では一般的に扱われているものですが、価値主義で言う価値とはこの使用価値に留まりません。  興奮・好意・羨望などの人間の持つ感情や、共感・信用などの観念的なものも、消費することはできませんが立派な価値と言えます。

従来の価値は消費の観点からの使用価値をもっぱら扱ってきましたが、裕福になるにつれてものもサービスも飽和して消費や使用の重要性は減っていきます。一方で、興奮や共感などの精神的な充足や、社会貢献活動などの重要性は若者を中心にどんどん高まっています。良い大学を出た超一流企業にも就職できるエリートがその道を選ばずにNPOや社会起業家などに専念するのは、その一例です。

あらゆる「価値」を最大化しておけば、その価値をいつでもお金に変換することができますし、お金以外にものと交換することもできるようになります。お金は価値を資本主義経済の中で使える形に変換したものに過ぎず、価値を媒介する1つの選択肢に過ぎません。人気のあるYouTuberほど、お金を失うことは怖くないが、ファンやチャンネル登録者を失うのは怖いと言います。

① 有用性としての価値
これは最も馴染みが深く資本主義がメインに扱う価値です。経済、経営、金融、会計などで価値という言葉が出たらこの有用性・有益性・実用性としての価値を指しています。一言で言えば、「役に立つか?」という観点から考えた価値です。 現実世界で使用できる、利用できる、儲かる、といった実世界での「リターン」を前提にした価値です。基本的には現在の枠組みで資本に転換できるものを前提とした価値です。なので、直接的に次のお金に繫がらない、現実世界で利用できないものは有用性としての価値はないということになります。

② 内面的な価値
実生活に役に立つか? という観点とは別に、個人の内面的な感情と結びつけても価値という言葉は使われます。 愛情・共感・興奮・好意・信頼など、実生活に役に立つわけではないけれど、その個人の内面にとってポジティブな効果を及ぼす時に、価値があるという表現を使います。 有用性としての観点で考えると、個人が心の中でどんなことを思っているかは関係ありませんし、それらの感情が役に立つといったことはありません。感情は消費する、役に立つといった実用性とは無縁だからです。ただ、美しい景色を見た時、友達と過ごして楽しかった時、それらには価値があると表現しても特に違和感はないはずです。

③ 社会的な価値
資本主義は個人の利益を追求していくことが全体の利益に繫がるという考え方です。一方で、慈善活動やNPOのように、 個人ではなく社会全体の持続性を高めるような活動も私たちは価値があると表現します。 金融や経営の視点から考えると、社会全体の持続性を高めるような行動はただのコストに過ぎず、少なくとも価値があるとは言えません。ただ、砂漠に木を植える人たちや、発展途上国に学校を作ったりする人の行動に価値を感じる人は多いと思います。  このように一言で「価値」と言っても、私たちは3つの異なる概念を区別せずに使…

価値主義で扱う価値とは、 ① 有用性としての価値だけではなく、 ② 人間の内面的な価値や、 ③ 全体の持続性を高めるような社会的な価値も、すべて価値として取り扱う仕組みです。 そして ① と比べて ② や ③ は物質がなく曖昧であるがためにテクノロジーの活用が不可欠です。裏を返せば、価値主義とは資本主義と全く違うパラダイムではなく、これまでの資本主義が認識できなかった領域もテクノロジーの力を使ってカバーする、資本主義の発展系と考えてもらったほうがわかりやすいと思います。

人生の意義の話も踏まえて、価値主義の世界ではどんな働き方や生き方がスタンダードになっていくでしょうか。答えは非常にシンプルで「好きなことに熱中している人ほどうまく行きやすい」世の中に変わっていきます。

一方で、資本ではなく価値に着目するのであればチャンスは無数にあります。資本主義の枠組みの中では認識できない価値というものがたくさん存在するので、そこに焦点を絞れば良いのです。価値の中でもものやサービスなどを消費する使用価値という点では、それらは飽和状態にあり、資本と密接に結びついているので、競争が激しいです。

反対に、 人間の内面的な価値に関しては、現在の資本主義の枠組みでは上の世代が認識しにくく、ここには大きなチャンスが存在しています。この内面的な価値には、共感・熱狂・信頼・好意・感謝のような種類があり、わかりやすい現物があるわけでもないので非常に曖昧です。ただ、確かに多くの人がそれに価値を感じて、経済を動かす原動力になっています。ゲームに課金したりライブ配信する面白い人にアイテムを投げたりするお金の払い方に、シニア世代は当惑することがあると思います。

これらは既存の経済で扱ってきた使用価値ではくくれない価値だからです。年配の人ほど、経済的な価値とは製品やサービスの使用価値・利用価値だという考え方を持っています。ここにチャンスがあります。この内面的な価値を重要視するのはミレニアル世代以降ですから、上の世代では理解しづらい。これからの働き方を考える上ではここに絞って活動していくのが生存戦略の観点からも良いと思います。

内面的な価値が経済を動かすようになると、そこでの成功ルールはこれまでとは全く違うものになり得ます。 金銭的なリターンを第一に考えるほど儲からなくなり、何かに熱中している人ほど結果的に利益を得られるようになります。つまり、これまでと真逆のことが起こります。従来は、経済的な利益を得ることを最優先し、個人の利益を最大化するように動くことが成功のための近道でした。ただ、内面的な価値を軸に考えた場合は、因果関係が逆転します。自分が心から熱中していることに打ち込んでいると、結果として利益を得られる。逆に利益を最優先に行動すると利益を得るのは難しいということが起きます。

例えば、商業的に成功するために歌っている人と、音楽が本当に好きでただ熱中して歌っている人がいるとしたら、みなさんならどちらを応援したいと思うでしょうか? どちらに共感や好意を感じるでしょうか? 大半の方は後者のはずです。人気のYouTuberや動画配信者も、配信している人が本当に楽しそうに熱中してやっている場合に人気が出ているという印象を受けます。彼らにとっては経済的に成功したことは「結果」であって、儲けることが目的だったのではないと思います。

利益やメリットを最優先にする考え方は実用性としての価値の観点であって、それを内面的な価値に適用したところで全く機能しません。簡単に言えば、「役に立つこと」や「メリットがあること」と、「楽しいこと」や「共感できること」は全く関係がないのです。 これまでの経済はいかに役に立つかを価値の前提にしてきて、使用価値のないものに価値を認めてきませんでした。内面的な価値は、商品でもサービスでもありませんでした。

仮想通貨やトークンエコノミーの普及によって、こういった目に見えない価値もネットを経由して一瞬で送れるような仕組みが整いつつあります。ものやサービスが飽和して使用価値を発揮するのがどんどん難しくなり、 多くのミレニアル世代が人生の意義のようなものを探している世界では、内面的な欲望を満たす価値を提供できる人が成功しやすくなります。

この世界で活躍するためには、他人に伝えられるほどの熱量を持って取り組めることを探すことが、実は最も近道と言えます。そして、そこでは世の中の需要だったり、他の人の背中を追う意味は薄くなります。なぜなら、内面的な価値ではオリジナリティ、独自性や個性が最も重要だからです。 その人でなければいけない、この人だからこそできる、といった独自性がそのまま価値に繫がりやすいです。

そこで重要なのは「個人の価値」です。個人の価値さえ高めておけば、それをお金に変換することもできますし、お金以外の他の価値にも変換することができます。ここで言う価値とは、 ① スキル・経験のような実用性としての価値、 ② 共感や好意のような内面的な価値、 ③ 信頼・人脈のような繫がりとしての社会的な価値、のいずれも含みます。

<私の見解>
新しい経済ルールが生まれて、今がまさにお金の価値の転換点にあることがよくわかる内容でした。この本と堀江貴文さんの「これからを稼ごう」を読めばこれからの経済ルールについてよく理解できると思いますので是非読んでみてください。